「うつや体調不良で退職したいけど、辞めた後の生活費が心配…」そんな方に知ってほしいのが傷病手当金です。
実は傷病手当金は退職後も最長1年6ヶ月受給できます。しかも失業保険とは別の制度なので、条件を満たせば両方もらえる可能性もあります。
この記事では、傷病手当金の受給条件・金額の計算方法・退職後の申請方法まで、知らないと損する情報をすべて解説します。
傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気やケガで仕事ができない期間の生活を保障するための健康保険の給付制度です。
- 支給額:給与の約3分の2(約67%)
- 支給期間:最長1年6ヶ月
- 対象:健康保険(社会保険)の被保険者
うつ病・適応障害・パニック障害・腰痛・骨折など、仕事ができない状態であれば病名は問いません。
傷病手当金の受給条件【4つ】
- 健康保険(社会保険)に加入していること
- 業務外の病気やケガであること(労災は除く)
- 連続3日間以上仕事を休んだこと(待期期間)
- 医師が「労務不能」と認めたこと
3日間の待期期間は、土日祝日や有給休暇を含めてOKです。4日目から支給対象になります。
退職後も傷病手当金をもらい続ける条件

退職後も継続して傷病手当金を受け取るには、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
条件1:退職日までに1年以上の被保険者期間がある
健康保険に継続して1年以上加入していることが必要です。転職で保険が切り替わった場合でも、空白期間がなければ通算されます。
条件2:退職日に出勤していない
これが最も重要なポイントです。退職日に出勤すると、退職後の傷病手当金を受け取る権利を失います。退職日は必ず休みましょう(有給消化や欠勤でOK)。
退職代行を使って退職する場合は、退職日に出勤しないのが通常なので、この条件は自動的にクリアされます。
傷病手当金の金額はいくら?
傷病手当金の日額は以下の計算式で求められます。
1日あたりの支給額 = 直近12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
月収別の目安
| 月収(税引前) | 傷病手当金の月額目安 |
|---|---|
| 20万円 | 約13.3万円 |
| 25万円 | 約16.7万円 |
| 30万円 | 約20万円 |
| 35万円 | 約23.3万円 |
非課税なので、手取りベースでは在職中の8割程度の感覚です。
退職後の傷病手当金の申請方法
ステップ1:医師に「労務不能」の意見書をもらう
通院中の医師に「傷病手当金支給申請書」の療養担当者記入欄を記入してもらいます。
ステップ2:申請書を記入する
在職中は会社が「事業主記入欄」を記入しますが、退職後は事業主の記入は不要です。被保険者(本人)の記入欄だけでOK。
ステップ3:健康保険組合(協会けんぽ)に郵送
退職時に加入していた健康保険の保険者に申請書を郵送します。協会けんぽの場合は都道府県支部宛てです。
申請のタイミング
申請は1ヶ月単位で行うのが一般的です。月末締めで翌月に申請する流れです。申請期限は支給対象日の翌日から2年以内なので、遡っての申請も可能です。
傷病手当金と失業保険は両方もらえる?
原則として同時受給はできません。傷病手当金は「働けない状態」、失業保険は「働ける状態」が前提だからです。
ただし、以下の順番でトータルでは両方受け取ることが可能です。
- 退職後、傷病手当金を最長1年6ヶ月受給
- 回復後、ハローワークで失業保険の受給期間延長を解除
- 失業保険を受給開始
失業保険の受給期間は通常1年ですが、病気で就労できない場合は最大4年まで延長できます。退職後すぐにハローワークで「受給期間延長」の手続きをしておきましょう。
傷病手当金をもらいながら退職代行を使う方法
うつ病や適応障害で出社できない状態なら、退職代行+傷病手当金の組み合わせが最強です。
- 医師に診断書をもらい休職する
- 休職中に傷病手当金を申請する
- 退職代行で退職の意思を伝える
- 退職後も傷病手当金を継続受給
退職代行を使えば会社と直接やりとりする必要がないため、メンタルへの負担をゼロにできます。
傷病手当金の申請でよくある失敗パターン3つ

失敗1:退職日に出勤してしまった
これが最も多い失敗です。「最終日くらいは挨拶に行こう」と出勤してしまうと、退職後の傷病手当金の受給資格を失います。たとえ30分でも「出勤」とみなされるため、退職日は絶対に休むことが鉄則です。
退職代行を使う場合は、退職日に出勤する心配がないため、この失敗を自動的に回避できます。
失敗2:申請が遅れて時効にかかった
傷病手当金の請求権は支給対象日の翌日から2年で時効にかかります。退職後に体調が回復してから「あの時もらえたのに…」と気づくケースが少なくありません。該当する場合は今すぐ申請しましょう。遡って請求することも可能です。
失敗3:医師の意見書の記載が不十分
「労務不能」の期間や内容が曖昧だと、審査で却下されることがあります。医師には「いつからいつまで労務不能か」を明確に記載してもらいましょう。心療内科の医師は傷病手当金の申請に慣れているケースが多いので、遠慮せず相談してください。
傷病手当金の支給が終わった後の選択肢
傷病手当金の支給期間(最長1年6ヶ月)が終わった後、まだ働けない状態の場合は以下の選択肢があります。
1. 障害年金の申請
うつ病や適応障害が長期化し、日常生活に著しい制限がある場合は障害年金の対象になる可能性があります。障害基礎年金2級の場合、年額約78万円が支給されます。初診日から1年6ヶ月経過後に申請可能です。
2. 生活保護
貯蓄がなく他に収入もない場合は生活保護を申請できます。「若いから」「働けそうだから」という理由で断られることはありません。申請は国民の権利です。福祉事務所に相談しましょう。
3. 失業保険の受給開始
体調が回復して求職活動ができる状態になれば、受給期間の延長を解除して失業保険を受給できます。延長手続きをしていれば、退職から最大4年後でも失業保険を受けられます。詳しくは失業保険の完全ガイドをご確認ください。
まとめ:傷病手当金は退職後の生命線
- 傷病手当金は退職後も最長1年6ヶ月もらえる
- 金額は給与の約67%(非課税)
- 退職日に出勤しないことが最重要条件
- 失業保険とは順番にもらえば両方受給可能
- 退職代行との組み合わせが最適解
体調が悪い中で退職の手続きをするのは本当に大変です。傷病手当金で生活を安定させつつ、退職代行で手続きをスムーズに進めましょう。


