
え?これはいったい何?視聴者を翻弄し続ける?
驚愕のアニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」をご紹介。
視聴者の予想の斜め上を行くようなストーリー展開と、いろいろとんでもないのに魅力的なキャラクターたち。
あまり数は多くないものの、支持者の熱は高かった
ここではこの作品の魅力を紹介していきたいと思います。
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アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」の魅力
興味はあるけれど、少し取っつきの悪い印象があって、手が出せなかったという人が、この作品には多いのではないでしょうか。
そうした方たちのためにも、まず設定をおさらいしておきます。
事件現場で回収された殺意から、殺人者の潜在意識の世界(イド)を作り出すことができる、謎めいたな装置「ミヅハノメ」。
これを管理するのが「井戸端」と称される組織。
彼らは、必ず「かえる」という少女が殺されているイドの世界に「名探偵」と呼ばれるパイロットを送り込んで、現実の世界での事件をも解決しようと試みるのです。
このパイロットが鳴瓢秋人(なりひさごあきひと)、元刑事であり、自分の娘を殺した犯人を処刑した殺人者でもあります。
彼がイドの中では名探偵・酒井戸(さかいど)として、かえるちゃんの死の謎を解いていくのです。
アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」の評価点
85点/100
評価ポイント
- 先の読めないストーリー
- 渋くて、リアルなキャラクター造形
特異な設定もあって、「イド」は先の読めないお話です。
前半は「ちょっと毛色の変わった刑事物かな」みたいな印象になのですが、全体としてのストーリーはうねり始めると、そういう思い込みは吹っ飛んでしまいます。
お約束だらけの安心してみられるお話がダメというわけではありませんが、「イド」の方が物語の王道だと思いませんか?
「イド」は主人公の鳴瓢秋人以下、キャラクターの平均年齢が高めです。
だからか登場人物がそろって渋い。
この渋さが物語のトーンも決めています。
しぶーいお話が好きな人には絶対のおすすめです。
そうして、このキャラクターたちがみんなリアルなんです。
完全無欠のキャラは善人はもちろん、悪人も出てきません。
そして、「イド」には殺人者という二面性をもつキャラが大勢います。
こうしたキャラは多くの場合、「化け物」として描写されがちです。
ここでは彼らもあくまで人間として描写されます。
たとえば、明るくてかわいい新人外務分析官で、同時に殺人者という本堂町小春(ほんどうまちこはる)ちゃんを見てくださいな。
アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」のあらすじの評価
男が見知らぬ場所で目覚める。
そこは日常の光景がバラバラに切り刻まれ、その断片が宙に舞っているような異様な世界だった。
男は自分が誰だかも分からない。
しかも彼自身の身体までもがバラバラだ。
男は絶叫する。けれどバラバラの手足は、バラバラなのに彼の意思で動かせる。
男は身体をつなぎ合わせて、辺りを探り始めし、死んでいる少女を見つける。
その途端、彼は理解する。
「この子の名前はかえるちゃん。自分は名探偵・酒井戸、自分は彼女の死の謎を解かねばならない」。
こんな風にして始まったお話は、イドの中での酒井戸の推理からヒントを得て、現実の世界で犯人を捕らえるというパターンが基本形です。
前半は。
後半は「ミヅハノメとはいったいなんなのか?」というメインプロットが動き始めます。
そこからは、イドの中で、もう一度イドに入ったり、井戸端の室長が殺人で逮捕されたりの怒濤の展開です。
視聴者を振り回すような、破天荒な筋の展開はやはり評価に値します。
ただ分かりづらいのは、やっぱり減点対象でしょう。
細かい設定が多すぎて、主要な設定の中でも、ここまでで書き切れていないものが幾つかあります。
おまけにストーリーの中での説明は親切とは言いかねる。
それなりの数の、ついて行けない人が出るのは仕方がないでしょう。
アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」の声優評価
ごらんのように実に渋いラインナップになりました。
津田健次郎さんなんか声を聞いてるだけで、筋なんてどうでもよくなったりして。
・鳴瓢 秋人
津田健次郎さん
代表作品「K(周防尊)」 「薄桜鬼(風間千景)」
・百貴 船太郎
細谷佳正公さん
代表作品「文豪ストレイドッグス(国木田独歩)」 「この世界の片隅に(北條周作)」
・本堂 町小春
M・A・Oさん
代表作品「ひなこのーと(桜木ひな子)」 「刀使ノ巫女(此花寿々花)」
・富久田 保津
竹内良太さん
代表作品「魔法使いの嫁(エリアス・エインズワース)」 「ACTORS(臼杵鷲帆)」
アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」の主題歌の評価
メランコリックでありながら、疾走感のあるメロディは「イド」の作品世界にふさわしい。
ことに頭サビで立ち上がるオープニングに魂を鷲づかみされた視聴者は多いんじゃないでしょうか。
エンディングは一転して、息の詰まるような緊迫感が印象的なナンバー。
・ミスターフィクサー
Sou
・Other Side
MIYAVI
アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」を試聴した感想とネタバレ
この文章を書くのに録画してあった「イド」の一回目を見直したのですが、やっぱりおもしろいな、と言うのが率直な感想です。
基本的には視聴者を振り回すような、意表を突く筋の展開が最大の魅力のシリーズですから、初回以降は破壊力が落ちるはずなんですが、それでもおもしろい。
これはやっぱり見せ方の工夫なんだろうと思います。
要するに、プロットのひねりを最大限に生かす見せ方をしている。
たとえば一話のラスト。
実は筋だけ追ったらよくある展開なんです。
それを思わず「えっ?」と声が出るような見せ方をしてくる。
こういうツイストは舞城氏の力に依るところが大きいようなんですが、スタッフの熱意も充分に感じられて、こっちも熱くなります。
アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイテッド」の評価が高いと思うすすめポイント
- ああ、小春ちゃん
- ミステリー要素
- だけどやっぱり
一つずつ解説します。
ああ、小春ちゃん
渋くて、平均年齢高めのキャラについてはもう書いてしまっているので、ここではそれを一人で下げている小春ちゃんについて書いておきましょう。
小春ちゃんは明るくて、かわいい女の子であると同時に、怜悧な推理力を持ったキャラクターです。
その怜悧が行きすぎて、時に冷酷非情にもなってしまう。
こうしたキャラは多く、明るい少女の仮面を被ったサイコパスとして扱われます。
で、脇を向いてほくそ笑んだりする。
でも、彼女はこの二面性がナチュラルに同居したキャラです。
小春ちゃんをもっと怖いと思うか、魅力的と思うか、ぜひ見て確かめてください。
ミステリー要素
あらすじに挙げた一話の中で、酒井戸はかえるちゃんの死体にある違和感を抱き、そこからいかにも名探偵らしい、意表を突いた指摘をします。
こんな風に酒井戸が繰り広げる推理には本格ミステリの香気があって、ミステリ好きの琴線に触れてきます。
脚本のメフィスト賞作家・舞城王太郎氏の面目躍如と言ったところでしょうか。
まあメフィスト賞は本格よりメタミステリ・アンチミステリに強い賞なんですが。
だけどやっぱり
予想の斜め上を行くようなストーリー展開が「イド」の最大の魅力です。
思う存分振り回されてください。
まとめ
実は「イド」を見たあとで、舞城王太郎氏の小説を読んでみたくなって、メフィスト賞を取った「煙か土か食い物」を読んでみたんです。
どうせメフィスト賞に多い、すかしまくりの嫌みな話なんだろうと思い込んでいて、読まず嫌いをしていたんですが、これが全然違った。
エンタメ小説としての読みやすさを放棄してるような、特異な文体に目をくらまされてしまいがちなのですが、お話そのものは奇をてらわない、正攻法で骨太のものでした。
「イド」も同じで、特異な設定が目を引きがちですけれど、軸のところはまっとうです。
たとえば最終回、井戸端の室長である百貴が鳴瓢や千春を差し置いて、物語をクローズする役割を担うのですが、ここでの彼がどうしようもなくかっこいい。
救いのない状況、絶望的ななにものかを前にして、自分の無力を実感している人が、それでもなお誠実であろうとすることの意味、なんてことを考えさせてくれます。
現実と区別の付かない精神世界なんて出てくるお話です。
最後は、ニューロティックというか、メタフィクション的に、お話そのものの結構をぶち壊すような終わり方をしてもおかしくない。
そうした方向に目もくれなかったのは、スタッフの物語への愛の故ではないでしょうか。